ジクトルテープってご存知でしょうか?
久光製薬から発売されているジクロフェナクナトリウム経皮吸収型製剤です。
既存の外用剤には大正製薬株式会社のロコアテープがあります。どちらも「貼る」痛み止めです。なんだ、それならロコアテープでいいじゃないかと思ったアナタ!それは違います。
ジクトルテープのメリットは、2022年6月1日から投薬期間制限が解除された適応症にあります。下記にロコアテープとの比較を掲示してみました。
ロコアテープ
- 変形性関節症の消炎
- 変形性関節症の鎮痛
ジクトルテープ
- 各種がんにおける鎮痛
- 腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群および腱鞘炎における鎮痛・消炎
これまでのロコアテープの主戦場は関節です。適応症が変形性関節症なので、膝関節痛に対して使用するのが本筋。一方、腰痛に対しては使用できませんでした。
整形外科領域では、ひざ、こし、かた、くびの痛みが大票田です。そのうちの膝関節にしか使えないのでは少々扱いにくい。もちろん、肩関節も変形性肩関節症であればOKです。
しかし、実際には変形性肩関節症と言える症例は少数派です。このためロコアテープ=膝関節でした。ところが今回のジクトルテープでは、こし、かた、くびを押さえています。
これは非常に使い勝手いいですね! ジクトルテープは膝関節の適応症が通っていないのもポイントだと思います。全身をくまなくカバーするためには両者の併用が必要です。
なかなか興味深い状況ですが、ロコアテープへの忖度なのでしょうか。そのあたりの事情は私には分かりませんが、臨床医としてはジクトルテープの適応症拡大は喜ばしいことです。
管理人 お勧めの医学書
一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており実践的な書籍です。
姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。