整形外科医のブログ

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骨折

超高齢者の上腕骨顆上骨折は積極的偽関節もアリ?!

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超高齢者の上腕骨顆上骨折は、治療方針で悩むケースが多いです。その理由は、手術療法で得られるメリットの割にデメリットが大きいことです。


超高齢者の上腕骨顆上骨折では、手術を施行しても強固な内固定を得られることが少ないため、術後もある程度の外固定併用もしくは可動域訓練を多少セーブする必要があります。


このため、手術による軟部組織侵襲も相まって、高率に肘関節の可動域制限が残ります。更に手術を施行したにもかかわらず、偽関節になったら堪ったものではありません。


しかし、保存療法では高率に偽関節化します。結局、どちらを選択すればよいのか?は、ケースバイケースとしか言いようがありません。


先日も90歳近い超高齢者が上腕骨顆上骨折で紹介されてきました。開業医で見逃されていた症例で、初診時には上腕骨顆部がすでに卵の殻のようになっていました...。


どうしようも無いので保存療法を選択しましたが、案の定骨癒合しません。しかし驚くべきことに肘関節の痛みがほぼ無いのです。しかも可動域は、120-20-0程度痛み無く動きます。


正直言って、手術療法よりも保存療法で偽関節化した方が成績が良いかもしれない...。この患者さんを診た正直な感想です。


超高齢者に関しては、骨癒合させようと躍起になるよりも、トータルでの肘の使いやすさを主眼にして偽関節も受け入れる方が良い症例もありそうです。







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大腿骨頚基部骨折の手術はCHSの一択!

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ときどき見かける大腿骨頚基部骨折は、大腿骨転子下骨折(reverse oblique)と同様に少し身構えてしまう骨折型のひとつです。身構える理由は、両方とも骨癒合しにくいからです。


大腿骨頚基部骨折が骨癒合しにくい理由は、骨折線が荷重方向とほぼ平行であることです。荷重時に骨折部に圧迫力が加わらず、剪断力のみが加わります。



このあたりは、reverse obliqueタイプの大腿骨転子下骨折と同じですね。更に大腿骨頚基部骨折は、骨折線が関節包内外にまたがります。







大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン では、大腿骨転子部骨折の治療に関しては、sliding hip screw (CHS)と short femoral nail の両者を推奨しています。


しかし大腿骨頚基部骨折では、sliding hip screw のみが推奨されています。大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドラインには、short femoral nail を非推奨の理由が記載されていません。 


多くの整形外科医の間では、大腿骨頚基部骨折では sliding hip screw を選択するべきというコンセンサスだと思われます。


sliding hip screw を選択する理由は、
大腿骨頚基部骨折でshort femoral nailを選択すると、ネイルが骨折部に来るため骨片間の接触面積が小さくなるからです。


このため、short femoral nailでは偽関節化する危険性が高まります。最近では、CHSを施行する機会が減りましたが、大腿骨頚基部骨折ではCHSを選択することが望ましいでしょう。




   


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皮膚のツヤで骨質が分かるのか?!

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先日、1日違いでTHAと人工骨頭置換術を施行しました。このこと自体は何も珍しいことではありません。ただ、患者さんはそれぞれ以下のような方でした。

  • 75歳女性 変形性股関節症 → THA
  • 65歳男性 大腿骨頚部骨折 → 人工骨頭置換術


65歳男性は、Garden stage 4だったので人工骨頭置換術を選択したのですが、単純X線像では、変形性膝関節症の女性よりも骨質が良さそうです。


しかし、見た目や皮膚の性状は、65歳とは思えないほど良くない状況でした。一方、75歳女性の方はツヤツヤして張りがあります。


年齢、性別的、単純X線像的に、65歳男性の方がしっかりした骨っぽいですが、実際に股関節を展開すると、65歳男性の骨は極めて脆弱でした。一方、女性はしっかりした骨でした。


年齢・性別・単純X線像の画像所見よりも、実際の肌の状態の方が、内部の骨の性状を正確に表しているのかもしれません。


そう言えば、肌が綺麗で張りのある患者さんは、内部の状態も良好である傾向にあることに今更ながら気付きました。今度からは皮膚の性状があまり良くない人には注意しよう。






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派手な骨折ほど徒手整復の重要性を感じた件

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先日、ド派手な骨折患者さんが来ました。
何が派手なのかというと、下の画像のごとく文字通り、足関節「脱臼」骨折なのです。



221220 - コピー



ちょっとびっくりするような画像ですね。距骨が背側に脱臼していて、天蓋骨折の状態がよく分かりません。初診対応すると思わず身構えてしまいます。


しかし、このように高度の不安定性のある骨折は、意外なほどカンタンに徒手整復できます。この症例も少し引っ張るだけで簡単に整復されました。


整復後の単純X線像を確認すると、通常の足関節脱臼骨折(SE stage 4)です。もちろん後果骨折も併発しているのでカンタンな手術というわけではありません。


しかし、3果骨折合わせても one tourniquetで十分に対応できる程度でした。初診時の衝撃的画像と手術難易度のギャップが大きかったです。


今回の症例では外来での徒手整復の段階で7割がた治療が終了していました。手術は整復の足りない部分を補足的に行う意味合いですね。そう考えると徒手整復って偉大だな...。





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認知症患者さんの身体は嘘をつかない?!

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先日、認知症の高齢者が転倒してから歩くのが困難になったということで初診されました。しかし、単純X線像では大腿骨頚部、恥骨坐骨とも骨折を認めません。


身体所見は大転子には圧痛なしですが、股関節の回旋時痛少々あり、軸圧痛無しという状況です。圧痛点は恥骨から鼠径部にかけてが最強点です。


このような状況の患者さんを目の前にして、あなたならどう判断するでしょうか。私は認知症患者さんに関しては、身体所見を極めて正確に取れると考えています。


彼らは痛みに対して正直です。一般の方であれば、何らかのバイアスや恐怖心のために、身体所見が曇りがちです。しかし、認知症の方は、ストレートに痛みに反応します。


このため、やはり骨折の可能性が極めて高く、それが大腿骨頚部か恥骨のどちらかであると判断しました。こうなると臨時でMRIを施行するのが吉です。


放射線科とかけあって臨時でMRIを撮像すると、大腿骨頚部の骨挫傷っぽい所見がありました。しかし関節内に水腫もしくは血種があるので、骨挫傷ではなく骨折と診断しました。


治療は当然ハンソンピンなどの骨接合術です。手術室とかけあって手術枠を確保しました。ここまで各部署との交渉はハードですが、すべての起点は患者さんの身体所見です。


認知症患者さんは、一般の方以上に正確な身体所見を取ることができる可能性が高い。覚えておいて損は無いのではないでしょうか。






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