先日、転倒後から右股関節部痛を訴えて歩行不能となった高齢者が入院しました。
単純X線像・CTでは明らかな骨折を認めませんでした。
念のためMRIを施行したところ、転子部にT1WI 低信号・T2WI 等~高信号・脂肪抑制画像では高信号の帯状領域を認めました。
画像上は、bone bruiseもしくは不顕性骨折(occult fracture)を疑います。身体所見では股関節の他動時痛は軽度のみで、少なくとも床上ではADL制限がありません。
一応、骨折だとは思いますが、治療方針をどうするかで悩みました。大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (初版)では、occult fractureでは骨接合術を推奨すると記載されています。
しかし、エビデンスは無いとのことでした・・・。ちょっと無責任ですね(笑)。私は、しばらく免荷して仮骨形成を認めた段階で荷重訓練を開始すると、転位なく骨癒合が得られた経験があります。
早期に手術を施行するか否かは考え方次第だとは思いますが、私はoccult fractureで保存治療から手術治療へのコンバート例を経験したことが無いので、今回も保存治療を選択しました。
単純X線像やCTで骨折の有無を判断できない方に、リスクを取って手術を施行するのもどうか? と思ったのです。保存治療で骨癒合することを祈りつつ、慎重に経過観察しようと思います。
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骨接合術
先日、大腿骨転子部骨折の方が入院されました。単純X線像では正面で大転子部に骨折を認めました。転子部に関しては骨折が判然としなかったのでCTを施行したところ、大転子を含む後方皮質が小転子下まで縦にスプリットしていました。
CT上は、大腿骨転子部の前方皮質に連続性があるように見えます。大腿骨近位部の後方1/2のみの骨折は初めてみるので驚きました。
私が勤めている病院にはMRIが無いのでそれ以上の詳細を知ることができなかったのですが、このような症例に対して治療はどうすればよいのでしょうか?
この方は転位の大きな上腕骨近位端骨折もあったので、大腿骨転子部骨折(?)にも170mmの髄内釘による骨接合術を施行しました。CTでみると大腿骨近位の前方1/2でしか体重を支えられないので、積極的な離床を行う上で必要な手術と判断しました。
しかし、単独骨折であればどのように対応したかは未だに自信を持てません・・・。
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