昨日は、殿部軟部腫瘍の切除術を行いました。
MRIでは脂肪腫疑いだったのですが、サイズが10cm×7cm×5cmとかなり大きかったです。
脂肪腫でもサイズが5cmを超えると、悪性化する可能性が出てくるので切除術が推奨されます。この旨を患者さんに説明したところ、できれば局所麻酔で・・・と希望されました。
気持ちは分からないことも無いのですが、これだけ大きな軟部腫瘍を切除するためには相当量の局所麻酔薬が必要となります。局所麻酔薬の極量を超えてしまう可能性が高いです。
また、腫瘍の裏側は筋膜と軽度癒着していることもあるため、剥離することが結構難しいこともある印象です。このため、少し大袈裟かもしれませんが全身麻酔での手術を選択しました。
脂肪腫などの一般的で、ごくありふれた腫瘍の場合には、術中出血等で困ることは少ないので、安易に局所麻酔での手術を考えがちです。
しかし、病理検査で悪性だったことも考慮して、できるだけ被膜を破らないように手術を行う必要があります。そのためには充分な鎮痛が不可欠であり、全身麻酔の方が望ましいと考えます。
たかが軟部腫瘍、されど軟部腫瘍です・・・。
特にサイズの大きい軟部腫瘍では慎重に治療にあたるべきだと思います。
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骨・軟部腫瘍および骨系統・代謝性疾患 (整形外科専門医になるための診療スタンダード 4)