私の記録の中で、現在の勤務先の勤続年数は最長記録を更新中です。
一般的に医局人事で動いていると、2~3年周期で異動することが多いと思います。


卒後教育や不公平感是正という意味では、これぐらいのスパンの異動は望ましいと思います。しかし、ひとつの施設に長い間勤務していなければ分からないこともあることに気付きました。


先日、大腿骨遠位骨幹端の非骨化性繊維腫(Non-ossifying fibroma: NOF)の18歳女性を無事に「送り出し」ました。「送り出した」とは、経過観察終了にしたということです。


この患児は12歳から外来フォローを続けていました。当初は膝関節打撲で単純X線を撮影したのですが、偶然にも大腿骨遠位骨幹端にそこそこのサイズの非骨化性繊維腫を発見したのです。


通常、自分だけでこれだけ長期に渡る外来フォローを行うケースはあまり無いと思います。たいてい異動のタイミングで「もう、そろそろ終了にしよう」や後任医師に任せることになります。


しかし、自分が前任医師から託されたNOFなどの疾患は、自分が主体になって最後までフォローしている実感をイマイチ得ることができませんでした。


一方、今回のケースでは15歳を超えてから急激に骨透亮像が小さくなっていくことを確認できました。そして、遂に先日撮影した単純X線像では骨透亮像が消失したのです!


まだ小学生だった患児が大学生になる姿を見るのは、ちょっと感無量でした(笑)。もちろん、年に1回しか診察しないので、小学生の頃の顔ははっきり覚えていません。


しかし、教科書通りにきっちり二十歳前にNOFが消失する経過は、ひとつの施設で長い年月勤務しなければなかなか味わえない経験かなと思いました。




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ガイドラインに準拠してわかりやすくコンパクトにまとまった良書です。概論が最初の30ページ程度なので、これはあらかじめ通読するとよいでしょう。各論は原発性骨腫瘍、腫瘍類似疾患、転移性骨腫瘍、軟部腫瘍、骨系統疾患、代謝性骨疾患の6章に分かれています。各章とも疾患ごとに、豊富な写真でわかりやすく解説されています。