先日、50歳台前半の大腿骨頚部骨折がありました。Garden分類ではstage 3程度です。受傷して間もないのですが、治療をどうしよう...


もう少し若ければ迷うことなく骨接合術を選択します。しかし、年齢が50歳台なので迷うところです。このような場合、自分の家族ならどうするか? と考えます。


少し考えた結果、私なら敢えて骨接合術を選ぶという結論を出しました。たしかに Garden stage 3では外傷性大腿骨頭壊死症を併発する可能性が高いです。


しかし、仮にそこそこ大きな大腿骨頭壊死症を併発しても、すぐに collapseするわけではありません。骨頭壊死発生と発症は違うのです。


数年無症状の人も居ますし、徐々に大腿骨頭が圧壊しても疼痛がさほど強くない人もいます。つまり、仮に大腿骨頭壊死症を併発しても time savingできる可能性があるのです。


そして、人工骨頭置換術には欠点があります。耐用性云々はもちろんですが、高齢者以外では違和感や股関節部痛を残しやすいです。THAと人工骨頭置換術は異なるのです。


もちろん、THAを施行するという手もありますが、日本ではややオーバーインディケーションと受け止められかねません。そして、正常股+外傷のTHAは意外と難しい...。


これらを勘案すると、まずは骨接合術で Challenging operationを施行して、大腿骨頭壊死を併発しても
 time savingするという戦略が望ましいのではないかと考えます。


かなり、偏った方針かもしれませんが、現時点ではこのように考えています。 何が正解かは患者さんによって違いますので、真実は分からないですが...。







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