整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

CT

脂肪腫ではなく、上腰ヘルニアだった!

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先日、アルバイト先で外来をしていた際、70歳台女性が腰背部の腫瘤を主訴に初診されました。腫瘤は以前からあって特に痛みも無いのですが、家人から指摘されて受診したそうです。


診察すると左腰背部に径10cm程度の可動性はそれなりにある弾性軟の腫瘤を触知しました。外観上は脂肪腫っぽかったのですがサイズが大きいためCTを施行しました。


CTでは左腎背側に筋欠損部が存在し、そこから筋層外に腎周囲の脂肪織と思われるlow density massの脱出を認めではないですか!


てっきり脂肪腫だと思っていたので、その日は患者さんに帰ってもらい放射線科医師の読影を待ちました。しかし、放射線科医師の読影結果は、なんと「脂肪腫」でした・・・。


おかしいなぁ と思いながらも脂肪腫ならば、とMRIを依頼しました。しかし、MRIの画像を確認すると明らかに背筋が欠損しており、腫瘤は後腹膜の脂肪組織と連続していました。



上腰ヘルニア




外科医師に相談すると、これは特発性の「上腰ヘルニア」ではないかとのことでした。患者さんの腰背部腫瘤を触知すると、患者さんの発声が腫瘤を通じてダイレクトに私の手に伝わります。


これは明らかにヘルニアです・・・。放射線科医師の読影を鵜呑みにして”腫瘍切除術”を施行するとエライ目に会うところでした。放射線科医師の読影と言えども盲信してはいけないようです。


それにしても「上腰ヘルニア」は、
こちらの文献によるとかなり珍しい疾患のようです。こんな国内で数十例しか報告の無い他科の症例に遭遇するとは、私は運が良いのか悪いのか・・・。




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ガイドラインに準拠してわかりやすくコンパクトにまとまった良書です。概論が最初の30ページ程度なので、これはあらかじめ通読するとよいでしょう。各論は原発性骨腫瘍、腫瘍類似疾患、転移性骨腫瘍、軟部腫瘍、骨系統疾患、代謝性骨疾患の6章に分かれています。各章とも疾患ごとに、豊富な写真でわかりやすく解説されています。



                      

 骨・軟部腫瘍および骨系統・代謝性疾患 (整形外科専門医になるための診療スタンダード 4)


正確なGarden分類はCTが便利

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本日の午前中は大腿骨頚部骨折に対する関節内骨折観血的手術でした。
私は、ハンソンピン(正確にはHOMS技研のSB FIX)を使用しています。


高齢者では認知症の存在や早期離床の観点から、免荷を実行することが難しいです。このため、Garden分類の正確な判定が、術式の決定に重要となります。


私はオーソドックスに、Garden分類のstage 1・2では骨接合術を、stage 3・4では人工骨頭置換術を選択しています。ちなみにstage 2・3の違いは、カルカーでの転位の有無で判断しています。


カルカーでの転位が僅かであるからといってGarden分類のstage 3で骨接合術を選択すると、偽関節や大腿骨頭壊死症を併発して人工骨頭置換術をせざるを得ないことがあります。


しかし転位が僅かの場合には、高度の骨粗鬆症・着衣・下肢の肢位などが原因で、単純X線像のみではGarden分類stage 1~3のいずれに該当するのかが判りにくいことがあります。


このような場合、理想を言えば私達医師が撮影現場に立ち会って何度も単純X線像を撮影したらクリアできるかもしれません。しかし、忙しい実臨床では現実的ではありません。


そこで私は、紛らわしいケースではCTを施行することにしています。前額断の再構成画像で読影すると、カルカーでの転位の有無が簡単に判断できるので自信を持ってタイプ分類ができます。


本日の方は左大腿骨頚部骨折ですが、単純X線像でhead-neck junctionに不整像を疑い、stage 3の可能性もあるかも?と思っていましたが、CTではstage 1でした。


Xp



CT




多少、過剰医療の誹りを受けるかもしれません。しかし、ルーチン的に施行しているわけでもなく、また月に1度あるかないか程度なので、私的には重宝している診断ツールです。




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豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です




                         

             
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意外と使えるCTの再構成画像

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昨日の夕方は、アルバイト先で夜診をしていました。
このアルバイト先の医療期間は、病院なのですがMRIがありません。


そして、整形外科の常勤医師も居ないので、入院患者さんの対診も受けなければなりません。地域柄のためか高齢者が多く、昨日も圧迫骨折を疑う方の診察をしました。


単純X線像を確認すると多発性脊椎圧迫骨折がありました。しかし、ほとんどの椎体骨折は陳旧性に見えます。身体所見からは新鮮圧迫骨折がありそうなのですが・・・。


そこで、やむを得ずCTを施行しました。CTを撮影するときは必ず矢状断で再構成をしてもらいます。やはり骨折を判断する上で、矢状断は最も診断価値があると思います。


昨日の方は第4腰椎の新鮮椎体骨折でした。矢状断でみると椎体中央の終板直下がはっきりと陥没しています。しかし、単純X線像を見直しても椎体骨折を全く確認できませんでした。


MRIのある施設ではあっさりMRIを施行すると思いますが、意外とCTの矢状断でも新鮮骨折の有無をよく判断できます。むしろ費用対効果や診断の迅速度ではCTの方が上かもしれせん。


限られた医療資源の中でやむを得ずCTで診断していましたが、脊椎椎体骨折に関しては意外とCTは使えると感じています。ただし大腿骨近位部骨折に関してはイマイチな気はしますが・・・。



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腰椎分離症の治療はMRIが便利

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今日の午前は外来でした。
昨年8月ごろから腰痛を発症して、11月に初診した16歳の野球少年が来院しました。


11月の初診時には、単純X線像・CT像とも明らかな異常所見を認めませんでした。しかし慢性腰痛が気持ち悪かったのでMRIを施行したところ、L4の左椎弓に分離症の所見を認めました。



発症時




その後、ダーメンコルセットを作成して3ヶ月間常用とした上で、野球・スポーツ・体育の授業を完全に禁止しました。2ヵ月ぐらいしてから痛みが軽快し、本日腰椎MRIで最終確認を行いました。



治癒後




11月のMRIでは高輝度だった左椎弓が、本日のMRIでは正常な輝度になっていることがはっきり分かります。めでたく、本日でダーメンコルセットを除去してスポーツ復帰を許可しました。


通常、単純X線像やCTで腰椎分離症の診断・治療を行うことが多いと思いますが、MRIの方が感度が高くて早期治療や治癒の判定には有効だと思います。


CTだと骨折の有無や骨癒合の判定がなかなか難しいことが多い印象です。分離症はそれほど数が多くないし患者さんも若いので、MRIを施行しても過剰医療に該当するとは思いません。


それに若年者に対するCTでの被爆量のことを考えると、あっさりとMRIで診断・治療を行う方が患者さんのためになるし、より合理的なのかなと思います。



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意外と有用なCTの矢状断画像

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今日の午前は出張先での外来でした。
前胸部を打撲してから1週間経つのに痛いという方が初診されました。


単純X線像では正面・斜位とも明らかな骨折は無さそうでした。しかし、かなり痛くて日常生活で困るということだったので、念のためにCTを施行したところ、矢状断の再構成画像で骨折を認めました。


改めて比較しましたが、やはり単純X線像では骨折は判定できませんでした。CTの画像でははっきりと骨折の転位を認めるのですが、単純X線像では骨折が判然としないのです。


日常診療で胸骨骨折や肋骨骨折を疑っても、CTまで施行することはあまり無いと思います。しかし、よく言われるように身体所見で叩打痛や呼吸時痛があれば、骨折の存在を強く疑うべきなのでしょう。


全例でCTを撮影するのは過剰診療だと思います。しかし交通事故などで診断を確定する必要のある症例では、CTの矢状断での再構成画像は意外に有効な診断ツールだと思いました。




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