整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

DIC

敗血症性ショックの初療についてのまとめ

このエントリーをはてなブックマークに追加

TKA術後でリハビリテーション中の患者さんが敗血症を発症しました のつづきです


敗血症性ショックの初期では大量輸液を行うことが推奨されるようになっています。Surviving sepsis campaign guidelinesでは、30分かけて500-1000 mLの晶質液を、あるいは300-500 mLのコロイド液の輸液負荷をして、平均動脈圧70 mmHgを目標に循環動態の回復をはかることを推奨しています。


私が施行したのは晶質液を500 mL/hペースだったので、もう少し投与量を増やしても良かったのかもしれません。ただし、深夜帯で、全身状態の悪いときにCVラインを確保する余裕が無かったため、中心静脈圧を測定できませんでした。中心静脈圧15 mmHgを超えないようにモニタリングできれば、もう少し大量の輸液を施行できたかもしれません。


次に、warm shockの状態を改善するべく、昇圧剤の投与が必要になります。一般的にはカタボンHiが、滴数コントロールが分かりやすいため第一選択となりますが、warm shockの状態では昇圧効果は不十分なことが多いようです。カタボンHiを9μg/kg/min以上投与しても血圧を維持できないようなら、α作用の強いノルアドレナリン投与を開始します。


ちなみに、カタボンは9μg/kg/min以下ではβ1作用が強く、カタボンの低流量持続投与は臓器保護作用があると言われていました。しかし麻酔科の先生によると最近ではカタボンの低流量持続投与による臓器保護作用に否定的な論文が多いらしいです。そうは言っても、ノルアドレナリン単独投与ではα作用が強く出すぎるため、β1作用を期待してカタボンHi+ノルアドレナリン投与が一般的なようです。


無事、敗血症性ショックを乗り切ってもまだ安心できません。血圧が安定してくるとサードスペースに逃げていた大量の水分が血管内に戻ってくるため、心不全をきたすことがあります。血圧をみながら利尿をかける必要があるのです。蛇足ですがbacterial translocationを予防するため、ショック状態が軽減した後には可能な限り早期から経腸栄養を検討するべきとのことでした。





       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

       
       総論   (診察・診断、治療全般、骨折・外傷、周術期管理)
 

       各論   (手の外科、肩関節、脊椎、股関節、膝関節、足の外科、腫瘍)

       その他 (関節リウマチ、痛風・高尿酸血症、骨粗鬆症、専門医試験)



TKA術後でリハビリテーション中の患者さんが敗血症を発症しました

このエントリーをはてなブックマークに追加

2週間ほど前にTKA術後でリハビリテーション中の患者さんが、尿路感染症から敗血症・DICを併発してしまいました。この方は基礎疾患も特になかったので、発症前はほぼノーマークでした。休み明けの午前中にいきなり39度の熱発が出現しました。


前日は36度台でご本人からの訴えも特にありませんでした。CRP/WBC 6.7/7000程度で炎症反応はそれなりに高値ではあります。しかしご本人を診察したところ、何故か何とも言えない重篤感がありました。突然の熱発だったので誤嚥性肺炎を疑い、胸部CTを施行しましたが特に異常所見を認めませんでした。


不明熱の検索では呼吸器・尿路感染症をまず疑うのが鉄則なので、尿検査するとかなり混濁していました。腹部CTで右腎盂の腫脹をみとめたため、急性尿路感染症と診断して第2世代セフェム系の抗生剤を1日3回点滴投与開始しました。


重篤感が何となく嫌だったのですが、やるべき対応をこれ以上思いつかなかったので、経過観察していたところ、準夜帯から血圧低下とともに乏尿 ⇒ 無尿となりました。経過から敗血症性ショックと診断して、大量輸液+カタボン持続投与を開始しました。


急激に状況が悪化してきたので、未明に家族にお越しいただき病状説明をしました。深夜帯でも500ml/hペースで大量輸液しましたが血圧を保てません。まるで底が抜けたバケツのような感覚でした。


いわゆるwarm shockの状態であったため、カタボンHi 9mlでも全く血圧を保てずノルアドレナリンも追加投与開始しました。相変わらず無尿の状態がつづきましたが、ノルアドレナリン投与によって血圧の底支えをして何とか翌朝まで持ちこたえさせることができました。


翌朝から内科の先生による敗血症およびDICの本格的な治療が始まり、発症から約1週間でほぼDICから離脱することに成功しました。整形外科医がDICの治療までイニシアチブを取って治療を行うことはあまり無いですが、敗血症性ショックの初療を施行する機会は少なくないと思います。自分の勉強を兼ねて敗血症性ショックの初療についてのまとめてみました。


敗血症性ショックの初療についてのまとめ につづく




       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

       
       総論   (診察・診断、治療全般、骨折・外傷、周術期管理)
 

       各論   (手の外科、肩関節、脊椎、股関節、膝関節、足の外科、腫瘍)

       その他 (関節リウマチ、痛風・高尿酸血症、骨粗鬆症、専門医試験)



人工関節周囲骨折(人工骨頭ステム下骨折)に対する治療法 その2

このエントリーをはてなブックマークに追加
人工関節周囲骨折(人工骨頭ステム下骨折)に対する治療法 その1 のつづきです。


人工関節周囲骨折は、寛骨臼骨折(両柱骨折)ほどではないにしても、難易度の高い骨折だと思っています。両者とも骨折を整復するまで止血する手段がありません。つまり、手術時間が長くなればなるほど、患者さんのダメージが大きくなるのです。


したがって、THAやTKAなどのように和やかな雰囲気の中で手術を施行するのではなく、持てるテクニックの全てを駆使して可能な限り手早く手術を終了します。都市伝説かもしれませんが、出血が大量になると、ある時点で”凝固系のシステムが壊れる”と思っています。


私自身、過去2度ほど”凝固系のシステムが壊れた”瞬間に立会いました。凝固系のシステムが壊れると、術野の風景が一変します。突然、術野のありとあらゆるところから薄い血液があふれ出てくるのです。


1度目は卒後6年目のときに人工股関節再置換術の際におこりました。オーベンの先生の助手として手術にはいっていたのですが、術野が突如として一変して出血が止まらなくなったのです。その経験は、私の中でトラウマになりました。


2度目も人工股関節再置換術の際におこりました。このときは私が執刀していました。少し目を離したすきに、前立ちの先生が大腿骨を内旋してしまい骨幹部骨折を併発しました。まさに、インプランテーション直前の出来事でしたが、このときも骨折を契機として術野が一変しました。


前回の経験があったので一切躊躇せず、あふれ出てくる血液と格闘しながらすぐに閉創しました。DICを併発しましたが10日程度で持ち直し、最終的にはロングセメントステムでの再置換+onlay graftを施行して無事退院まで持っていくことができました。


1回目の経験が無ければ、無駄な抵抗をして悲惨な結果になっていたと思います。いつまでたっても思わぬところで、足をすくわれるのが手術だと痛感しました。

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

管理人の著書

161228 【書影】医師の経済的自由
ビジネスパートナー募集中
産婦人科
株式会社リコー様のインタビュー記事


管理人によるケアネット連載コラム
log_carenet

医師のためのお金の話

管理人による m3.com 連載コラム
管理人による幻冬舎ゴールドオンライン連載
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
築古木造戸建投資マニュアル

医師のための築古木造戸建投資マニュアル 1
REITで実践する不動産投資セミナー
190122
医師のための 金融資産形成術


配送無料! 医学書 購入サイト
プロフィール

自由気ままな整形外科医

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

・医学博士
・整形外科専門医
・日本リウマチ学会専門医
・不動産投資家
・超長期金融資産投資家

QRコード
QRコード
記事検索
メッセージ
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。 利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。