今日の午前は出張先での外来でした。70歳台の男性が右肩関節部痛で2ヵ月ほど通院しています。単純X線像上では特記する所見が無く、肩関節周囲炎と診断していました。


肩関節周囲炎の治療では鎮痛が重要なので、各種の消炎鎮痛剤投与や肩関節注射(肩峰下滑液包内注射も含む)を施行しましたが全く効果がありません。


最終的にはトラムセットを4錠投与したのですが、全く効果がありませんでした。ここまでくると流石におかしいので採血したところ、ESRが70mm/hと異常亢進していました。


以前にも一度経験があるのですが、高齢者の肩関節周囲炎だと思って治療していたところ、実はリウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica; PMR)だったことがありました。


PMRの治療はストロイド投与なのです。それまで何をしても効果が無かったのに、PSLを服用し始めるとすぐに症状が劇的に消失しました。今回の方もそれに該当するかもしれません。


高齢者の治療抵抗性の肩関節周囲炎の中にはPMRが含まれている可能性があると思います。PMRの診断・治療は
こちらをご参考にしてください。



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