昨夜は当直でした。
グループホーム内で転倒したという女性が左肩関節脱臼骨折で救急受診されました。
Stimson法 ⇒ 挙上位整復法を施行しましたが、認知症があり暴れるため整復できませんでした。単純X線像では両恥坐骨に陳旧性骨折をみとめ、左鎖骨は偽関節化していました。相当骨質が悪そうです。
私は、肩関節脱臼に対して苦手意識を持っています。5年目の時に高齢の肩関節脱臼の方に対して、無麻酔でHippocrates法を施行した際に上腕骨近位端骨折を併発させた経験があるからです。
それ以来、無麻酔での徒手整復に対して非常に慎重になりました。Stimson法や挙上位整復法などの愛護的な方法で整復不可の場合には、躊躇せずに静脈麻酔下で徒手整復を行います。
ただ、静脈麻酔をかけつつ脱臼整復も独りで施行するというのは結構危険な行為だと思います。
私は静脈麻酔にも嫌な経験があり、基本的には他の医師立会いの元に施行するようにしています。
その経験とは、私が研修医1年目5月の時に10年目の指導医が静脈麻酔下に脱臼整復を独りで施行したのですが、脱臼整復に集中していたため気付いたときには無呼吸となっており大変だったことがあったのです。
結局、昨夜の方は麻酔科医師に静脈麻酔をかけてもらい愛護的に徒手整復しました。我ながら少々大袈裟かなと思いますが、地雷を踏むのが嫌なので安全第一に治療を行うことを心掛けています・・・。
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