今日の午前は出張先での外来でした。
認知症で施設入所中の70歳台後半の方が家族に連れられて初診されました。


1週間ほど前から右膝外側の痛みを訴えるとのことでした。診察すると脛骨外側のL型プレート前方のカドの部分が今にも皮膚を突き破りそうな状況でした。


ちょっとした外力で皮膚からプレートが露出しそうなので、抜釘せざるえない状況と判断しました。認知症のためご本人とは意思の疎通もままならないのですが、家族が抜釘を強く希望されるので仕方ありません。


今回の状況に至った主な原因は、シンセスのL型プレートが大き過ぎて日本人の体格に合っていないことです。プレートの形状を改善せずに何十年も販売しつづけているシンセスもどうかと思いますが、他に選択枝がない状況では何とか対応する必要があります。


術中にプレートが大きすぎて脛骨前方に突出することが判明した時点で、プレートをもう少し後方に設置できるようにプレートが当たる腓骨頭の前方部分をdiamond burrで掘削します。


このように腓骨頭の前方部分にプレートが収まる溝を作成することで、プレート前方の角が突出する度合いが少なくなります。L型プレートの前方の角部分を無理やり曲げる人もいますが、ロッキングスクリューを使用する場合は避けた方が無難でしょう。


シンセスにはアジア人の骨形状に合わせたプレートの形状改善を望むとともに、他のメーカーの参入を期待します。




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