昨日の午後は人工骨頭置換術後のステム下骨折でした。人工関節周囲骨折は、骨質が悪く、認知症を併発している場合も多いので治療が難しいと思います。
昨日の患者さんは約20年前にセメントステムを挿入されていました。
骨折前からステムの緩みをみとめ、Vancouver分類 Type B3と判断しました。
ちなみに人工関節周囲骨折の分類であるVancouver分類は、下記の論文を参考にしてください。
Duncan CP, Masri BA (1995)
Fractures of the femur after hip replacement. Instr Course Lect 44:293–304.
Type B3の場合、全身状態を全く考慮しないとRev. THA+骨移植術が望ましいです。しかし、高齢で伝い歩き程度の活動性で、認知症を併発している方に対してそこまでの治療はリスクが高すぎます。
そうなってくるとORIF+骨移植術という治療法を選ばざる得ません。最近、シンセスのロッキングプレートにケーブルワイヤー(cerclage cable wire )とperiprosthetic screw を併用できるようになりました(Cable system & Periprosthetic screws)。
具体的には、①LCP broad curved ②LCP-DFに、cerclage cable wire およびperiprosthetic screwを併用するのです。尚、②に関しては、反対側(左側の骨折なら右用を選択)のプレートを上下逆に使用します。つまり大腿骨顆部用の穴を、大転子側にもってきて使用するのです。
このケーブルワイヤーシステムは、シンセスにしては珍しく操作性が良いです。このような優れた内固定材料を利用できるようになって、難症例の治療にもやや明るさがでてきたように思います。それでもやはり、高齢者の人工関節周囲骨折は、解決するべき問題が山積している難しい領域だと思います。
その2 につづく
ORIF
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