整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

THA

3Dテンプレートには見えないものが見えてしまう弊害アリ?!

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数年前から、THAの作図は 3Dテンプレート(ZedHip)を使用しています。3Dテンプレートにすると、従来の 2Dと比較して圧倒的に正確に術前計画可能です。


まさに良いこと尽くめ、、、というわけではありません。何故なら、2Dでは見えなかった問題点が可視化されるケースがあるからです。


先日も、寛骨臼前方荷重部に巨大な欠損ができる可能性がある症例がありました。3Dテンプレートでインプラントを設置して初めて分かったことです。


院内のCT画像を見直しましたが、本当にそんな骨欠損(被覆不足)が生じるのか?という疑念が生じるほどです。しかし、3Dテンプレートは正確なはずです。


できるだけ被覆率を上げるために、カップ設置位置を微修正して1時間ぐらい費やしました...。しかも、最終的には不満足な術前計画以外は実行不可だと悟るハメに。


たぶん従来であれば何も考えずに手術して、そしておそらく何も起こらずに終了していたはずです。つまりコワいものの存在を知らずに手術して、知らないまま終了し
ていたのです。


下手にリスクが発生する可能性を知ってしまったがために、心配になって有効な解決策があまり無い状況下で悶々とする...という状況は整形外科医アルアルではないでしょうか。






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人工股関節全置換術



ステム周囲骨折ではCTを撮像しよう!

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先日、近くにある某大学病院から、人工股関節全置換術後ステム周囲骨折の転院依頼がありました。診療情報提供書には Vancouver type Aなので全荷重可と記載されています。


すでに多発性の転移性腫瘍のため、ホスピスが視野に入る状況の患者さんのようです。Vancouver type Aなら問題ないかなと思って受け入れたのが災難の始まりです...。


患者さんと一緒にやってきた画像データには、単純X線像しかありません。嫌な予感がして股関節のCTを撮像すると、案の定、転子下にかけて少し転位のある骨折でした。


少なくとも 
Vancouver type B1で下手したら type B2です。たしかに前医で撮影した単純X線像では大転子単独骨折に見えるのですが、それだけで診断するのは少々軽率ですね...。



ちなみに、人工股関節全置換術後ステム周囲骨折のバンクーバー分類(The Vancouver Classification for Periprosthetic Fractures)は以下のごとくです。


バンクーバー分類   

  • type A   転子部
  • type B1 ステム周囲 人工関節が安定
  • type B2 ステム周囲 人工関節が不安定
  • type B3 ステム周囲 骨質が不良で骨片が粉砕している
  • type C   ステムよりも遠位


一般的には下記のような治療方針が選択されます。

  • type A   保存治療
  • type B1 骨折観血的手術
  • type B2 骨折観血的手術+再置換術
  • type B3 骨折観血的手術+再置換術
  • type C   骨折観血的手術



患者さんの痛がり方が尋常ではないので、やはり不安定性があるのでしょう。母校の大学ではないので、前医に文句も言えない状況です(苦笑)。


本来なら手術なのですが、全身状態と癌による予後を考えて、保存治療をせざるを得ません。患者さんと二人三脚の長い戦いの幕が切って落とされたようです。







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固定性が良いのも考えもの?!3Dポーラスカップの意外な盲点

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先日のTHAで、少し考えさせられることがありました。
寛骨臼側にカップを設置したところ、プレスフィット感は完璧です。


しかし、カップホルダーを外して寛骨臼縁とカップとの位置関係を確認すると、微妙に術前作図と異なるのです。その差はおそらく2mm程度でしょう。


カップが少し寛骨臼後縁からはみ出る状況を想定していましたが、カップと寛骨臼後縁が面一なのです。見た目の差異は2mm程度でも、前方開角は少し甘くなります。


最終的にはステム側で調整して易脱臼性は全くありませんでしたが、術者的には少し不満の残る結果でした。このようなケースではカップを置換し直す選択肢があります。


しかし、今回のカップは3Dポーラスカップでした。ご存知の通り、3Dポーラスカップの固定性はハンパ無いです。寛骨臼にプレスフィットすると、直後であっても抜去困難です。


感覚的には、セメントカップに似ています。つまり、修正の利かない一発勝負のカップ設置なんですね...。セメントレスカップのメリットはやり直しが利くことと思いがちです。


しかし、3Dポーラスカップに関しては、そのような甘い考え方は禁物なのでしょう。
3Dポーラスカップ ≒ セメントカップ。これからは、そのように認識を改めようと思いました。






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人工股関節全置換術



困った時には反対側の臨床経過を調べてみるのも一法

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先日にTHAを施行した患者さんですが、術後1週間目で創部から大量の浸出液が漏出しました。コレって、整形外科医的にはメチャクチャ嫌なパターンですね...。


もし感染だったら、鬱になってしまいそうです。しかしガーゼ交換しても、感染っぽい感じはありません。内部に溜まっていた血種なのか???


しかし、尋常ではない量の浸出液なので、こちらも不安になります。血液生化学検査で炎症所見が亢進していなくても、浸出液が出てドレナージできていれば感染を否定できません。


一方、この方は反対側も THAを施行しています。何年か前なのですが、カルテを手繰ると術後2週間以上に渡って浸出液が漏出し続けたとの記録がありました。


最終的には感染ではなく経過観察で治癒したようです。どうやら、コレがこの患者さんにとっては正常(?)な経過なのかもしれません。


このように困った状況になったときに、反対側も同じ手術をしていれば、その臨床経過は大いに参考になる場合が多いと思います。


今回は創治癒不全でしたが、肝機能障害のパターンも多いと思います。術翌日のGOT/GPTが尋常ではなかく高いとビビってしまいますが、前回手術も同じなら少し安心します。


このように、患者さんは同じような臨床経過を踏む確率が高いと思います。傍から見ると異常な経過でも、意外とその人にとってはフツーの経過という可能性があると感じました。






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人工股関節全置換術



カルカー部の骨切り不足で楔状骨折を量産してしまった件

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最近、あろうことか、THAや人工骨頭の大腿骨骨切りの際に、立て続けにカルカー部を骨折させてしまいました...。


原因は、骨切りの際にカルカー部を完全に切除していなかったためです。カルカーの一部に切り残しがあると、大腿骨頭を摘出する際にその部分が楔状に骨折するのです。


基本的にはセメントステムなので実害は無いのですが、研修医のような稚拙な手技に、我ながら呆れています。


さて、このようなことが発生する背景には、カルカー部をガツンと骨切りすると大腿骨頭の栄養動脈を切断してしまい、派手な動脈性出血を併発しやすくなることがあります。


動脈性出血を怖れてカルカー部の骨切りを少し控えめにしているのですが、コレが仇になっているようです。動脈性出血とカルカー部の楔状骨折では、骨折の方が罪深いでしょう。


このため、まず最初に内側のカルカー部をガツンと骨切りしてから、外側の骨切りを実施する方式に変更しようと思います。


それにしてもこの歳になって、こんな所で躓くとは、ホトホト外科医としての才能が無いようです(苦笑)。






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