整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

THA

困った時には反対側の臨床経過を調べてみるのも一法

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先日にTHAを施行した患者さんですが、術後1週間目で創部から大量の浸出液が漏出しました。コレって、整形外科医的にはメチャクチャ嫌なパターンですね...。


もし感染だったら、鬱になってしまいそうです。しかしガーゼ交換しても、感染っぽい感じはありません。内部に溜まっていた血種なのか???


しかし、尋常ではない量の浸出液なので、こちらも不安になります。血液生化学検査で炎症所見が亢進していなくても、浸出液が出てドレナージできていれば感染を否定できません。


一方、この方は反対側も THAを施行しています。何年か前なのですが、カルテを手繰ると術後2週間以上に渡って浸出液が漏出し続けたとの記録がありました。


最終的には感染ではなく経過観察で治癒したようです。どうやら、コレがこの患者さんにとっては正常(?)な経過なのかもしれません。


このように困った状況になったときに、反対側も同じ手術をしていれば、その臨床経過は大いに参考になる場合が多いと思います。


今回は創治癒不全でしたが、肝機能障害のパターンも多いと思います。術翌日のGOT/GPTが尋常ではなかく高いとビビってしまいますが、前回手術も同じなら少し安心します。


このように、患者さんは同じような臨床経過を踏む確率が高いと思います。傍から見ると異常な経過でも、意外とその人にとってはフツーの経過という可能性があると感じました。






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人工股関節全置換術



カルカー部の骨切り不足で楔状骨折を量産してしまった件

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最近、あろうことか、THAや人工骨頭の大腿骨骨切りの際に、立て続けにカルカー部を骨折させてしまいました...。


原因は、骨切りの際にカルカー部を完全に切除していなかったためです。カルカーの一部に切り残しがあると、大腿骨頭を摘出する際にその部分が楔状に骨折するのです。


基本的にはセメントステムなので実害は無いのですが、研修医のような稚拙な手技に、我ながら呆れています。


さて、このようなことが発生する背景には、カルカー部をガツンと骨切りすると大腿骨頭の栄養動脈を切断してしまい、派手な動脈性出血を併発しやすくなることがあります。


動脈性出血を怖れてカルカー部の骨切りを少し控えめにしているのですが、コレが仇になっているようです。動脈性出血とカルカー部の楔状骨折では、骨折の方が罪深いでしょう。


このため、まず最初に内側のカルカー部をガツンと骨切りしてから、外側の骨切りを実施する方式に変更しようと思います。


それにしてもこの歳になって、こんな所で躓くとは、ホトホト外科医としての才能が無いようです(苦笑)。






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人工股関節全置換術



前回術者の手術記録に救われた!

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先日、大腿骨頭が急激に陥没してきた患者さんの人工股関節全置換術を施行しました。初診から手術まで2ヵ月足らずだったので、広義の急速破壊型股関節症(RDC)だと思います。


股関節外科医をしていると時々見かけるRDCですが、やはり手術は難しい印象を抱いています。今回の症例では、数年前に反対側の THAを施行していました。


臨床経過は今回と同様に、2ヵ月足らずで大腿骨頭が破壊されてしまいました。前回の術者は私ではありませんが、股関節のエキスパートです。


手術記録を読むと、かなり苦労した形跡が見て取れます。手術時間が2時間もかかっており、それだけでも大変な手術だったことが窺い知れます...。


前回手術では、寛骨臼内は易出血性の瘢痕組織で充満していたようです。しかも、大腿骨と周囲組織が高度に癒着しており展開に苦労したと記載されていました。


パっとみた単純X線像では、寛骨臼の変形も少なく、単に大腿骨頭の上半分だけ無い画像所見です。一見すると簡単そうに見える所見ですが、展開するとやはり地獄でした(苦笑)。


どれだけ切除せなアカンの?!と思うぐらい嫌らしい瘢痕組織で充満しており、案の定展開に苦労しました。骨質も不良で、ちょっとしたことで二次性骨折しそうな感じです。


一応、セメントカップまで準備して万全の体制で臨んだものの、ふうふう言いながらなんとか無事手術を終了したのは、前回手術と同じく 2時間後でした。


もし前回の手術記録が詳細に記載されていなければ、予想外の展開に少々パニックに陥ったかもしれません。貴重な手術記録を残してくれた前回術者には感謝の言葉しかありません。





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人工股関節全置換術



セメントインセメント、セメントオンセメントとも難しい

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先日、セメントステム推しの記事を書きましたが、セメントステムの再建では、少し課題があると思っています。


それは、セメントインセメント、セメントオンセメントとも意外に難しいことです。まずセメントインセメントですが、コレがなかなか同サイズステムが入りませんでした。


おそらく大転子部の瘢痕組織や骨組織の切除が不充分だったのでしょうが、完璧にステム軸方向の障害物をすべて切除するのは思いのほか難しいと感じました。


次にセメントオンセメントですが、セメントを入れるタイミングや方法、そしてステムを挿入するタイミングも難しい...。


まずセメントを入れるタイミングですが、術者的にはスタックすることだけは絶対に回避したい。このためかなり早い段階で注入することになります。


ところがシャバシャバの状態で注入すると、術野にこぼれてエライことになります。そして細いステム部分しか空間がないので、奥までセメントを注入するのは至難の業です。


これをクリアすると、ステムを入れるタイミングという難関が控えています。慣れないのでどれぐらいのタイミングで挿入してよいのか分からないのです。


通常よりも早いタイミングで挿入するべきなのでしょうが、スタックだけは絶対回避しなければいけません。このためシャバシャバの状態で入れました。


まぁ、シャバシャバの状態でも髄腔内から出血は無く、またセメント塞栓の心配もないので気楽ですが、普段と違う風景に違和感を感じまくりです。


このあたりの実践的なテクニックを、いちどセメントTHAの大家に訊いてみたいと思いました。しかし絶滅危惧種と言われて久しいので、現役世代ではあまり居ない気が...。






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初学者が股関節外科の基礎および治療体系を学習するにあたり最もお勧めの書籍です。日本を代表する執筆陣が股関節外科に関するあらゆる事項を、非常に分かりやすく解説しています。この1冊があれば股関節外科のほぼ全ての疑問点を解消できると思います。


         




セメントステム抜去の再置換術はプライマリーTHAより簡単?!

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先日、人工股関節再置換術を施行しました。
一応、股関節外科医で毎週のようにTHAがありますが、再置換術は難しい...。


苦手意識(というかリビジョン好きな人は居ないでしょうが)が強いのですが、やらざるを得ない状況というのは必ず訪れます。


今回の再置換術は、主にカップ側です。寛骨臼側の再置換術で問題になるのはステムを抜去するか否かです。幸い、今回はステム側はセメントでした。


このため、思い切ってステムを抜去して手術することにしました。いざステムを抜去すると...寛骨臼の展開がメチャクチャ良いじゃないですか!


primary THAと遜色ない、いやむしろ短外旋筋群をすべて切除するので、primary THAよりやりやすいです。当然、リーミングもノーストレスでできます。


カップの設置も完璧にできて、しかも手術時間も短いので、良いこと尽くめです。少なくともステム側をセメントにするメリットは、とてもつなく大きそう。


絶滅危惧種と言われて久しいセメントTHA...。しかしステム側に関しては復権して欲しいと思っています。大腿骨近位部骨折ガイドラインでもセメントステム推しだし。







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