整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

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THA: カップを至適角度に設置するのは意外と難しいです

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昨日の午後は、人工股関節全置換術(THA)でした。
特発性大腿骨頭壊死症の方で大腿骨頭の圧潰以外は、股関節自体の解剖学的異常所見はさほど大きくない方でした。


カップを設置した後に確認したところ、カップの外方傾斜角がやや小さいように見えました。念のため、インパクターを再度装着して外方傾斜角を計測すると30度程度しかありませんでした。


カップのインパクションの際には外方傾斜角40度で設置したはずなのですが、スクリューを刺入している間に少し動いてしまったのでしょうか?カップの固定性は良好だったのですが・・・。


カップの外方傾斜角が小さいことは、大きいことよりもインプラントの耐久性には影響を与えませんが、股関節深屈曲時に後方への脱臼リスクを少し上げてしまいます。


昨日の方は、カップをスクリュー固定した後ではありましたが、カップを再度設置し直しました。カップの設置角度は、股関節の安定性に大きな影響を与えるので、設置角度に満足いかなければ積極的にカップを設置し直すべきです。


THA: 皮切に際しての小さな工夫

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今日の午前は人工股関節全置換術(THA)でした。
特発性大腿骨頭壊死症の方で、かなりBMIの高い方でした。


私は前外側から股関節にアプローチするので、後外側アプローチと比べて皮切の位置を慎重に選定する必要があります。前方は軟部組織が厚いため皮切の位置を誤ると手術操作に大きな影響を及ぼすからです。


特に、肥満傾向のある方や股関節の変形が高度の方は、皮膚上からは正確な大転子の位置が分からない場合があります。このような方に対しても対応できるように、私は下記のごとくの工夫をしています。


まず、おおよそ大転子先端であろうと予測される部位を中心に5cm程度の皮切を加えます。大腿筋膜張筋を切開して大転子先端の部位を直視下に確認した後、そこを中心にして皮切を延長するのです。


2段階の皮切になりますが、時間的な差はほとんどありません。簡単な手技にも関わらず、ほぼ確実に皮切の位置を至適部位にもってくれるので重宝しています。もちろん、THAに限らずあらゆる手術で施行可能です。

術前患者さんのCRP高値で困ってしまいました

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今日の午前は外来でした。来月に人工股関節全置換術予定の患者さんで、CRPの高値(2.5~4mg/dl程度)が続く方がいます。2.5~4mg/dlを高値とみなすかは微妙なところです。しかしTHA術前の値としては、放置するわけにはいかないレベルです。


術前の血液生化学検査で発覚したのですが、体温上昇は無く身体所見でも明らかな異常所見を認めません。WBCは正常範囲、ESRは軽度亢進しています。尿検査は正常範囲内です。


一体、何がCRP高値の原因なのか検討がつきませんでした。調べてみると、CRP高値の原因としては感染がメインですが、下記のようなことも挙げられるようです(当たり前のことばかりですが・・・)。


・ ウイルス性感染症
・ 細菌性感染症
・ 悪性腫瘍
・ 心筋梗塞
・ 膠原病
・ 外傷・熱傷


この患者さんに関しては、上記のうち悪性腫瘍の可能性のみ否定し切れませんでした。CRP高値が2週間持続していることを説明した上で、胸部~腹部CTを施行しました。


結果は・・・、おそらく憩室炎であろうとのことでした。腹部症状は全く無いのですが、大腸に憩室をみとめ、壁が腫脹しているので憩室炎を最も疑うとのことです。


FOMを1週間処方されて一件落着になりそうです。

高度肥満症例に対するTHA

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昨日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
体重が120Kg、BMI 38 % (!)という高度肥満の方でした。


特発性大腿骨頭壊死症で大腿骨頭のcollapseが進行しているため、減量してから手術という手が使えません。仕方無く手術を敢行したのですが、案の定非常に大変な手術でした。


まず、hip positionerがお腹の脂肪に阻まれて上前腸骨棘にまで届きませんでした。このため骨盤の固定が甘くなりました。手術が始まると、皮下脂肪だけでなく筋肉の量も半端じゃなく多いので、筋鈎が寛骨臼まで届きませんでした。レトラクターも寛骨臼後方用のものは届かなかったです。


とにかくすごい脂肪と筋肉の量だったので、何をするにもいちいち大変な労力が必要でした。最終的にインプラントは問題なく設置できましたが、手術時間が3時間近く(!)かかってしまいました。いつもの2倍の手術時間です。


以前、同じような体型の方でTKAを行った際には、ほぼ通常の手術と変わりませんでしたが、やはり股関節は深いので大変ですね・・・。

論文: 人工関節置換術後の2週間に急性心筋梗塞リスクが著明に上昇

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Medical Tribune Vol.45, No.38で、人工関節置換術の合併症に関する記事がありました。


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人工関節置換術後の2週間に急性心筋梗塞リスクが著明に上昇
Arief Lalmohamed, et al. Archives of Internal medicine 2012; 172: 1229-1235.


THAとTKAの両手術は、併せて全世界で年間約180万件施行されている。1998.1~2007.12にデンマークでTHAもしくはTKAを受けた95227例のデータを抽出して、背景を一致させた対照群286165例と比較した。


平均年齢はTHA群71.9歳、TKA群67.2歳であった。術後2週間時点でのAMIリスクはTHAで26倍、TKAで31倍であった。術後2週間経過するとAMIリスクは急激に低下するものの、THA施行患者では対照群と比べて術後6週間まで有意に高かった。


術後6週間時点でのAMIとの関連で最も高かったのは80歳以上のTHA施行患者で、一方60歳未満のTHA施行患者では有意なリスク上昇を認めなかった。


術後6週間時点でのAMIの発症リスクは、THA施行群で0.51%、TkA施行群で0.21%であった。


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なかなか衝撃的な論文ですね。私は500例以上の人工関節手術に携わってきましたが、幸いまだ周術期のAMIには遭遇していません。この論文の確率的には1~3例のAMIが発生してもおかしくないです。


デンマーク人が対象なので日本人にそのまま当てはまらないかもしれませんが、人工関節置換術後の心疾患リスク上昇を改めて認識させられました。

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