本日の午前中は大腿骨頚部骨折に対する関節内骨折観血的手術でした。
私は、ハンソンピン(正確にはHOMS技研のSB FIX)を使用しています。
高齢者では認知症の存在や早期離床の観点から、免荷を実行することが難しいです。このため、Garden分類の正確な判定が、術式の決定に重要となります。
私はオーソドックスに、Garden分類のstage 1・2では骨接合術を、stage 3・4では人工骨頭置換術を選択しています。ちなみにstage 2・3の違いは、カルカーでの転位の有無で判断しています。
カルカーでの転位が僅かであるからといってGarden分類のstage 3で骨接合術を選択すると、偽関節や大腿骨頭壊死症を併発して人工骨頭置換術をせざるを得ないことがあります。
しかし転位が僅かの場合には、高度の骨粗鬆症・着衣・下肢の肢位などが原因で、単純X線像のみではGarden分類stage 1~3のいずれに該当するのかが判りにくいことがあります。
このような場合、理想を言えば私達医師が撮影現場に立ち会って何度も単純X線像を撮影したらクリアできるかもしれません。しかし、忙しい実臨床では現実的ではありません。
そこで私は、紛らわしいケースではCTを施行することにしています。前額断の再構成画像で読影すると、カルカーでの転位の有無が簡単に判断できるので自信を持ってタイプ分類ができます。
本日の方は左大腿骨頚部骨折ですが、単純X線像でhead-neck junctionに不整像を疑い、stage 3の可能性もあるかも?と思っていましたが、CTではstage 1でした。
多少、過剰医療の誹りを受けるかもしれません。しかし、ルーチン的に施行しているわけでもなく、また月に1度あるかないか程度なので、私的には重宝している診断ツールです。
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